帰りの電車は、 2人で並んで座った。 清が右側に座ったために、 私の神経は、右側だけが、研ぎ澄まされ、 電車が揺れて、清の体と密着するたびに、 体中が、どくどくと脈打っていた。 そのうち、杖をついたおばあさんが、 電車に乗ってきた。 込み合ってはいないけど、 席は空いていなかった。 どうしよう、譲ったほうがいいのかな? でも、皆座ってるし。 私がおろおろしている間に、 清は、ごく自然に席を立っていた。