あいつが、持っていたお盆を、 机の上に置く音がした。 そのまま、足音が遠ざかり・・ 扉の向こうに、 あいつは去っていった。 大声で泣きたかった。 声の限りに、 泣きつくしたかった。 涙のかれるまで 思いのままに。 でも、 それはできなかった。 ここは、 自分の家ではなくて、 隣は、 あいつの部屋で・・、 私は、布団に包まって、 声を殺して泣いた。