「は…い……?」

今の聞き間違いかな…。



「閻まつ……」

「何か言った?」


もうほんと恐怖、としか言いようのない笑顔をあたしに見せる。



「ま……松井さん…」

「なーに?」

「あのね、まさかとは思うけど、…いや、絶対ありえないと思うけど!」

「早く言いなさい」


もうやだ!閻松井さんっ!!恐すぎるっ!!



「ド……ドラマとか入ッテナイデスヨネ?」

「んー?入ってるわよ、次クールの月9ヒロイン笠置美音役」



に…逃げてもいいですか?



「あたし、つい最近映画が終わったばっかだよ!?」


あの地獄のスケジュールこなしたばっかですよ!?
オフ天国を期待してたんですよ!?

あたしが顔を真っ青にする反面、閻松井さんは生き生きとしていく。


「忙しくなるわよー!」

「忙しすぎるよーっ!!」

「なんか言った?」

「イエ…、」


ほんと逃げ出したい!!


閻松井さんが再びこっちを向く。


「あなたねぇ、共演者見てキャーとか女の子らしいこと言えないの?」


遠くでそんな閻松井さんの声が聞こえた気がするけど、あたしの意識ははるか彼方。


女子高生さん達に教えてもらったクレープ屋さんのクレープ、全制覇したかった……。