「うふふふ、光。どこで道草食ってたのかしら?」
身も心も凍るような笑顔にあたしは固まる。
「まままま松井さん…」
「秋山さんとお話させてもらった私の方がどうして早いのかしらねぇ?」
「ごめんなさぃぃぃっ」
後の血祭りより今の説教だ!
30分程絞られ、やっと発車した。
「で?台本読んだの?」
「今から読む」
そう言った途端に松井さんが静かになった。
そう。
これから
"笠置美音"に
命を吹き込むの。
一文字目を読み始めたと同時に何も聞こえなくなった。
この世界にあたしと彼女しかいなくなったみたい。
目をそっと開けると、目の前にいる眠っている少女。
〈笠置…美音?〉
《……》
起きて。
じっと見つめると少女は目を開けた。
〈笠置美音…ちゃん?〉
静かに頭を縦に振る。
〈起きて?〉
彼女はまるでそこに誰もいないかのように虚ろだった。
〈あたしに貴女を託して?〉
ぴくりと反応し、あたしをじぃっと見つめる。
〈生きよう……?あたし達はこれから沢山の人に会えるんだよ?だから一緒に生きよう?〉
彼女の唇がわずかに動く。
声はでない。
だけど何を言ったかわかる。
《また歌える?》
あたしが笑顔で勿論!!と頷くと、微笑んであたしの手を取った。

