笑って頭を撫でてくれた。
どんどん不安が消えていく。
代わりに芽生えはじめた"笠置美音"へのチャレンジ。
「笠置美音に飲まれないあたしだけの笠置美音を演じます。精一杯頑張ります!」
あたしだけの笠置美音として、ドラマの中で生きてみたい。
……絶対にドラマの中で死なせたりしないよ。
「あ」
「なんだい?」
「えと…最後に…美音が…とかはありませんよ…ね…?」
少し不安になり聞いた。
「僕は悲劇的はあまり好きじゃないよ」
「あ、そ…そうですかっ!」
なぜか嬉しくて、笑う。
そして台本を抱き締めて、松井さんを見た。
「松井さん!台本気になるから、先に車に戻ってるねっ」
そう言ってあたしは会議室を急いで飛び出した。
わくわくして
どきどきして
足が自然に軽快に動く。
初めて演じる役柄だけど精一杯頑張るんだ!
思わず小さく一人で気合いを入れる。
「…っよし!」
その時だった。
「あ」
背後で誰かが言葉を漏らす。
「へ」
「"高崎光"じゃんっ」
そこには物珍しそうにあたしを見るチームボスザルの一人がいた。
「き…桐谷…晴翔くん?」

