「恥ずかしかったよー!!あたしの顔が店頭に並んでる、って考えただけで恥ずかしいよーっ」
楽屋の休憩時間、あたしは叫びまくった。
「貴方、一応女優なんだからそれぐらい普通でしょ」
「撮影は無理なんですよーっ」
呆れたようにため息をつく松井さんをじっと見る。
「…今度はどうしたの?」
「でも…ありがとうございます」
松井さんがあの時ああ言ってくれなかったら今頃はまだ撮影終わってなかったもん。
松井さんもにこりと「だてに高崎光のマネージャーやってないんだから」と笑った。
まだ休憩終了まで三十分ある。
「他のスタジオ見てきていい?」
「きゃーきゃー言わないのよ」
「わ…わかってます!!」
まったく!子供じゃないのにっ!!
「きゃーっ!!可愛いっ」
すぐ隣がファッション雑誌のスタジオで、沢山のモデルさんたちがいた。
みんなきらきらしてて、洋服のよさを最大限に引き出してる。
……あたしだったら最小限に縮めちゃうよ…。
シャッターを切るごとにくるくる表情を変えてるモデルさんをじっと見ていた。
すると、すぐ隣にいた撮影を待っているらしきモデルさんたちから叫びが聞こえる。
「やだやだやだーっ!!」
あたしは唖然として、その叫びをあげたモデルさんを見つめる。