スタジオをでて1つ気付いたことがあります。


「あ、あたしバック松井さんに預けたままだ……」


つまり、今のあたしに閻魔大王に勝つためのアイテムは携帯のみです。
勝率は低いです。どうやら茹でられちゃう運命のようです…って冗談言ってる場合ではなく、バックを持ってないってことはメガネとか帽子とかも無い訳で……



かなりバレてます。
バレないのも悲しいけど!!


「あの……光ちゃんですか!?」


早速女子高生四人に囲まれた。



「あ、はい」

「うそーっ!!」

「映画見ます!いつも応援してます!あの…っ握手してください!!」


こうゆう応援は普通に嬉しくて、少し照れながら握手をさせてもらった。

と言いながら、あたしの目は女子高生達が持ってるクレープに向けられる。



「…それ、どこに売ってたんですか?」

「あ、えっとあそこの……」


指差した先には美味しそうなクレープ屋さん。
ファンシーな外装に、漂わせる甘い香り。


「買いたい!…ってお金無いんだった…」


ずーん、と落ち込むあたしを見て一人の子がクレープを差し出してきた。


「あの、まだ手つけてないので!!よかったら…」