ここだけは、メンバーと何十人ものスタッフだけの貸しきりで、到着までの時刻リラックスできるように手配したっつーのに。



「晴…、ばか」

「悪かったって!」


晴のアホがトイレでファンと擦れ違ったらしく、入り口付近に多数のファンらしき人影があった。



「スタッフさんたちだって、気にしちゃうでしょー」

「まじ、ごめんなさい…」

「大丈夫よ、晴翔くん!気にしないで、それより、あなたたちの方こそリラックスできるかしら?」

「…だいじょうぶ、ありがと」



俺も無言で頷き、バックの中から行きで買った雑誌を取りだし、パラパラと捲る。



「あっ、光だ…ってぶほぅ!!いてぇよ!!壱流!!」

「うるせ、黙れ」



『高崎光 等身大の恋愛を語る』


あいつが恋愛なんか語れんのかよ。


鼻で笑いながらも、視線をページに落とした。



『この業界にいると魅力的な人に沢山会いますから、毎日ドキドキです(笑)でも、イケメンって感じの方よりスタッフさんとか私達の為に頑張ってくれてる方々にきゅん、ときますね』



…へー。