Drop Piece




みかん。

…みかん、だいすき。



『…頭では、分かってっけど、無理。あいつを傷つけるしか、俺には出来ねえの。…抱き締めて、励ますなんて、出来るわけねえよ』


よみがえるのは、さっき言われた壱流のびっくりするぐらいの弱気なコトバ。



…俺、欲張りだから、だいすきなもの、いっぱいあるの。


みかん、だいすき。だけどね、同じぐらい…。


『琉、いつまで寝てんだよっ』

『琉、ゲームしよーっ!!』

『ん、琉。お前の分』


あの、3人が…だいすきなの。



肘を折り曲げて、俺とみかんの距離は数センチ。


可愛い寝顔。

無防備な唇は目の前にあるけれど。


「……ん」


───ちゅ…



「今は…これで…がまん」



おでこに落とした、秘密は。当人も知らない。俺だけのもの。



「ふふ、おやすみ…みかん」



窓から覗く、まんまるお月さま。

ぜったい、誰にも、言わないでね?