結局、その日は、壱流となにも話さずに撮影が終わってしまった。
言わなきゃいけないことが…ある気がするのに。
もやもや、もやもや、嫌な気持ち。
……ケンカ…しちゃったのかな、……しちゃったんだよ…ね?
「うー…」
楽屋で唸りながら、ソファでごろごろしてたら、スタッフさんがノックをして入ってきた。
「もー、光ちゃん!髪セットしたんだからごろごろしないのっ!!」
「佐伯さーん…もやもやする」
「あとで話聞くから!秋山さんが呼んでるわよ!!」
最近はあたしのカットが多いから、壱流は現場に来ない。ライブだって、もう少しだし…。
メールする、とかよく分からないし…電話だって壱流にしてみたら迷惑だろうし…。
「うあー!!」
「え?光ちゃん?」
秋山さんが台本を開きながら、視線をこっちに向けて驚いた。
「すみません…」
「悩み事?」
「迷惑かけることしか思い付かなくて…」
そう言い掛けて、はっとした。
お仕事に私情持ち込まないって決めたんだ!!
「なんでもないです!!で、秋山さんは何を…」
「あぁ、ほら、もう少ししたらキスシーンがあるだろう?」

