「何の…こと?」
抱き締められる、って何?
「なに、隠してんだよ」
「別に…なんにも…っ!!」
ね、壱流。
どうして、こっちを見てくれないの?
そこで、あ、と声をもらした。
…抱き締められる…って、まさか…。
「琉飛の…」
「……」
「…見てたの?」
あの電話のことでいじけていたのを思い出して、かぁっと顔が赤く染まる。
それを見てなのか何なのか、壱流の不機嫌のオーラは濃くなった。
「俺は、お前が何か変だっ…」
「壱流くーん、次お願いしまーす!!」
「……はい」
壱流は言い掛けた言葉を飲み込んで、あたしに背を向けてセットの方へ行ってしまう。
「壱…っ」
「もう、いい」
「……」
「じゃ」
もう、いいなんて言われたけど、あたしには全然よくないし、きっと壱流だって…。
「いち」
「光」
「!?」
いきなり呼ばれた名前に体が震えた。
「な……に…?」
「…別に」
ね、壱流。目を見て、いつもみたいに名前を呼んでよ。
…壱流の気持ちが背中が邪魔して、分かんないの。

