ここにいたって邪魔なだけなんだろうけど、何となく壱流の姿をもう少し見ていたくて…ソファのところで体育座り。
そうすると、また携帯が震え出した。
「壱流っ…でん…わ」
液晶を見て、ぴたりと体が止まる。
「誰」
「……」
「おい」
「……」
「……光?」
いつまでも返事をしないあたしを訝しく思ったのか壱流が振り向いた。
定着しつつある、壱流の光呼び。やっと呼んでもらえた!!あいつ呼びは卒業だ!!って嬉しかったのに。
何でだろう。今は、…なんだか…。
「飲み…もの、買ってくる…!」
ばっ、と立ち上がって逃げるように楽屋を出た。…呼び止めたような壱流の声は聞こえないフリ。
液晶に映し出された名前。
……あたしでも知ってるぐらい有名な女優さんだった。
すっごく綺麗な人で、演技も巧くて…完璧な人。
…何日か前に、スタジオに来て壱流と何か喋ってたりもしたっけ。
付き合って…るんだー…。
よく分からないし、はっきりとしないけど…例えるなら………お兄ちゃんに彼女が…出来た気分。

