「役を私が愛さなきゃ、役が私を愛してくれるはずなんてない」
少し目を臥せて、瞼の裏にその時の情景を映しているのだろうか。少しの間、沈黙が流れる。
「父も母も、私の目標です。そして、いま…女優として、この場に立てているのは2人のお陰です」
輝く笑顔を溢しながら、SHIZUKAさんたちを見上げる。
「大好きなんです」
少し照れながらもそう言う光に親バカっぷりをあの人たちは存分に発揮した。
「もう!!可愛いぃぃいぃいっ」
「さすが俺たちの子だ!!」
報道陣も、和やかな雰囲気に包まれるが原西だけは呆然としている。
「原西さん」
「!!」
SHIZUKAさんが原西の目の前に立ち、口を開いた。
「私が初めて開いたブランドの名前ご存知ですか?」
「……は、い」
「Lumi re(リュミエール)、……フランス語で“光”です」
「……!!」
「お母さ…っ!!」
光も目を見開き驚いていた。
「分かりましたか?…私がブランドを、服を子供として扱う意味を」
「……」
「原西さんも、スクープが売れる売れないで写真を撮るのではなく…自分の好きな写真を撮ってください」
「……」
「私が貴方の名前を知ったの、何でか知ってますか?」