「それが小6の春です」

「光が小学校を卒業するまでは、と引き止めておいたんです」

「なにしろ、それから俺たちと光のやり取りはメールと手紙だけでしたから。今日…五年ぶりに会ったんですよ」


報道陣はどよめき、最前の女のリポーターがマイクを降ろしたまま「その、約束とは…?」と遠慮がちに聞いた。



「女優になるならば、両親との関係をゼロにする」


SHIZUKAさんが、「親不孝でしょ?」と不満げに言いながら、そう答えた。


「両親の力じゃなく、私だけの力で道を創りたかったんです。…人に創ってもらった道に乗っかるだけの人に、本当の演技なんて出来ないって思ったんです」


そこには、1人の女優“高崎光”が存在していた。



「最初は、ホームシックで泣きまくったり、オーディションでは緊張して落ちまくりました」


恥ずかしそうに笑う光をSHIZUKAさんが抱き締め、SyUも愛しそうに頭を撫でた。



「そんな時、母から手紙が来たんです。たった一文の」

「それは…どのような…?」



光は、にっこりと笑い答えた。



「何でも愛されたいなら、まず自分から愛さなきゃ」