本番直前5分前ですら、何だかあの笑顔がちらついて集中できなかった。
来場者たちもすでに席に着いているらしく、ステージ袖にいると来場者のざわめきがひしひしと伝わってきた。
日本のファッション業界、雑誌やマスコミ関連の大体は来ているはずのこのショーはさすがにスタッフたちの雰囲気もしまっていた。
「壱流」
「…琉」
琉が担当するユニセックスな衣装を着た姿で隣に立っていた。
「どした?なんか…トラブル?」
「ううん」
「じゃ、どうし…」
「親子って似るんだね」
「は?」
そんな一言を残し、ふわりと笑みを浮かべたままスタッフのもとへ行く琉を唖然としたまま見つめる。
…どうゆう…意味だよ。
「白羽さん!配置に付いてください」
「はい」
…取り敢えず今考えなきゃいけないのは、これだ。
雑念を捨てるように頭を振ってるとSHIZUKAさんが近寄ってきた。
「壱流くんっ」
「どうしたんですか?」
「ううん!どんな感じかなって。…すっごい似合ってる!」
そう言ってまた見せる笑顔。
……あ。
「白羽さん、始まります!」
“あいつ”の笑顔だ。

