「でもね、この子たちって気難しいの」
ふふっ、と笑い優しく服たちに触れていく姿は本当に母親のようだった。
「自分のことばっかりで、欲しがりな人は嫌いなのよ」
「…欲張り、キライなんだね」
琉がそう呟くと、SHIZUKAがまた笑う。
「そう、だから、服に愛されるコツがあるの!」
その笑顔が。
「自分から服を愛してあげて」
また誰かと。
「何でも愛されたいならまず自分から愛さなきゃ。そうしたら、絶対服は答えてくれる」
重なった。
語りすぎちゃった!と照れたように笑ってSHIZUKA…さんは「またあとでね」と言い残し楽屋を出ていった。
「っわー…やべ、俺なんか泣きそう」
「魅力的な…人だったね」
俺は、SHIZUKAさんが出ていったドアから目が離せないでいた。
あの笑顔。
あの視線。
どちらも知ってる。…誰かと重なる。
「ん?どうしたんだよ、利央」
「あ、うん…」
「利央…どしたの?」
「なんか…あの言葉聞いたことあるんだよね、俺」
「言葉?」
うん、とうなずく利央を見る。
「“何でも愛されたいならまず自分から愛さなきゃ”ってやつ」
あの笑顔が、頭から離れない。

