「てめえのせいだ。お前、帰ってきたらパシりだから。拒否権無し」
電話が繋がった瞬間にそう告げ、拒否権も無効にした。完璧だ。
『で…電話出て直ぐにそれは意味が分から』
「文句あんのかよ?」
『もー!!機嫌悪いなら電話してこなきゃいいじゃん!!』
「…てめえが“現場の状況聞きたい”とか言いやがったんだろうが」
『え…えへ』
今日の撮影が終わって楽屋であのパシり馬鹿に電話をかけた。時刻は23:17。巻きに巻いて、この時刻。台本2ページに渡る台詞も1テイク、つまり一発撮り。
「は!!格がちげぇんだよ」
『壱流……酔っ』
「ああ?」
『おおおお疲れ様です!!私には1テイクなんて無理です!!』
…疲れて頭働かねえよ。
「んで、お前は今日どうしたんだよ?」
『え、現場の状況をもう少し詳』
「現場の雰囲気、良好。進み具合、良好。トラブル、無し…あ、あったか」
『え、なに、どうしたの!!』
携帯を耳に挟みながらスタジオの隅に積んであるものに近付いた。
「お前専用のイス壊れて、お前のペットボトルホルダーが壊れて、、お前がいつも座るソファの位置にスタッフがコーヒー溢してカバーがない」
『え、それ、かなり縁起がわるい』
「存在もな」
電話向こうで眉をよせた音がした気がした。

