「…切んねえの?」
『……切らないよ』
耳をすませ、場所を察知する。
聞こえてくるのは、風の音だけ。
「…お前、外にいんの?」
『なんで…?壱流』
「何が」
泣きそうに、訴えるような責めるような…頼るような声を溢すあいつにため息。
『携帯…』
「ああ、プライベートと仕事、お前きっちり分けてっから携帯も別だと思ったし、あとは……色んな目撃情報」
おっさんに頼った、だとか馬鹿の携帯の色はホワイトだったのを知っていた、とかは言わないでおいた。
『……わざわざ学校まで…?』
「お前の学校の男子、アッチ系多くね?利央の時とか」
『ふふ、なにそれ』
俺さ、そんな無理したような笑い声を聞くために電話したんじゃねえの。
「どこにいんだよ」
『……』
「行くから、場所言って」
『……今から家に帰る』
「は?おま…記者とか」
『家じゃないと……素直になれないから』
息を呑み、口をつぐむ。
「行くから、今から」
『い…ちる』
「バレんなよ?」
ピ、と切る直前に『なんで、そこまでしてくれるの』なんて聞こえた気がした。
その答えを今から確かめに行くんじゃん。

