あたしの撮影も、その後すぐに終わって高速で松井さんに拉致され、ただ今歌番組の楽屋です。
「光?いい?落ち着いて、しっかり歌うのよ?あと、バレないように!」
「ババババババレるわけないじゃん!」
不自然に視線を逸らしたあたしを松井さんは訝しげに見つめる。
「光?」
「……あ、さっきススススタッフさんが呼んでたよ!」
「……わかったわ、じゃあね」
ひとり残された楽屋で、一先ず安心の息を吐く。
「…ちょっと、廊下…でても大丈夫だよね」
そろりと楽屋を出て、右に曲がろうとした瞬間。
「えー、壱流、絶対知ってるでしょー」
うん。この時ほど心臓が飛び上がった日はないかもしれない。
「だから、知らねえって」
「でも、俺あの歌手の声、好……っがは!いってえよ、壱流、何すんだよ!」
「なんか、すっげえムカついた」
「ふふ、晴、…どんまい」
あたしは死ぬ気で隠れる所を探して、近くの柱の後ろに飛び込んだ。

