もう、今さら隠してんじゃねえよと説得し、色々吐かせた。
「説得!?あれのどこが説得!?」
「あ?」
「いや、ほんとに仏様みたいなご説得で、もう感動しました」
ちょうど俺たちが出る歌番組のシークレットゲストで出演が決まってるらしい。
「あたしが歌ってるってことは、その番組のディレクターさん以外みんな知らないことになってるの!」
出演者も司会の奴らも知らない、設定ではあるが。
「お前、バレんだろ。すぐに」
「ちょ!しばらくは隠し通す予定なんですから!」
「琉とか鋭いけど」
あ、みかんだ、とか言われたら終わりだろ。
つーか、そんなこと、どうでもよくて。
「お前、明日の仕事何時から?」
「えっ…と、10時っ」
「……俺も9時半からだし、ちょうどいいかもな」
時計の針が指してるのはまだ11時。…余裕だな。
「え、いちるさ…何、する気?」
「決まってんだろ」
ヘッドフォンを片耳に付けて、楽譜を持ってにやりと笑うと馬鹿が一瞬にして固まった。
「この俺が、特別に指導してやるっつってんの」
この俺に隠し事したの後悔させてやるよ。

