ぱあっ、と輝く馬鹿の笑顔を見て、居心地が悪くなった。
「ほんとっ!?」
「……ああ」
「ほんとのほんとっ?」
「……まあまあだけどな」
「ほんとのほんとのほん…っ」
─ベチンッ!!
譜面台から取り上げた楽譜で馬鹿成敗。
「いたぁぁぁ…」
「つーか、できて当たり前だろ。この俺に音合わせやらせたんだからよ」
これで外してたら血祭りだ、血祭り。
「うん!ほんと助かったっ」
「で?」
「え?」
「いつから?この俺に?隠し事して?無茶して?んで、往生際悪く認めなくて?何様だ、お前」
小動物みたいにぶるぶる震える姿に詰め寄る。
「っ!だって、いちるに迷惑かけたくなかったんだもん!!」
しかし、その地獄の詰め寄りも馬鹿の一言によって止まる羽目となる。
「は、?…俺、が…なんだよ」
「だって、もしいちるにこの事言ったら、いちる優しいもん!絶対あたしの練習、見てやるよとか言うもん!」
体全体が硬直する。

