社長が帰ったあとも重苦しい空気が漂う。
「ガセだと、思うか?」
「だけど、晴。ここの出版社、結構信憑性あるで有名じゃん」
「だよな…」
俺は手のリングをいじりながら、じっと考える。
会って一日だ、あいつらは。
それでいきなり熱愛報道はおかしくね?
……けど。
俺が初対面だ、と思っているだけでもしかしたら結構前からの知り合いだったかもしれない。
疑心は募るばかりでまともな判断ができない。
「……壱流」
手が冷たいものに包まれる。
「琉」
琉飛の手だった。
「…どう…思う?」
「………」
「確かにマンションに入るとこは……撮られちゃってるけど、出てきたとこは…撮られて、ないよね」
琉飛の言った通り、撮られた写真はマンションに二人で入っていく場面だけ。
「ね、壱流。知ってる?……この出版社、今あんまり部数売れてないの」
「……んで、んなこと知ってんだよ」
「俺のこと尾行してた、…パパラッチさんが言ってた。世間話…二人でしたの」
「………」
財政が危うい出版社。
いきなり出た熱愛報道。
それが何を意味するか。

