メニューを馬鹿と朝浜の間に挟み込む。
「っわ!なに、いちる!!」
「何か飲みますか?」
「あ、俺紅茶で!」
「あたしはー…」
「てめぇには聞いてねぇよ、ぼけ」
「ひどい!」
苛立ちは全くおさまろうとしない。
横目で朝浜を睨むとまた困ったように笑われた。
「いちる?どうしたの?」
「てめぇの所為だっつーの」
低く唸ると、馬鹿が焦ったように身体を前のめりにだす。
「…えぇぇえ、どしたらいい?」
「とりあえず黙れ、動くな、存在を消せ」
「存在抹消ー!?」
…むかつく、くそ馬鹿ぼけ女。
三時間ほど過ぎるとスタッフも皆テンションがMAXになり、ほとんど宴会のようになった。
俺はトイレのために席を立つ。
すると馬鹿も同時に席を立った。
「あの、あたし、明日も仕事早いので申し訳ないんですが失礼させていただきます」
さっきの苛立ちがまだ消えていないため背中でその声を聞いた。