「壱流、目が恐いよー…」

「うるせ」


今の俺の機嫌は最高に悪い。

原因は目の前の馬鹿二人。


「光ちゃんあの映画も出たよね?俺、見たよ!」

「ほんとですかっ?」

「あのシリーズ、大好きなんだよ俺!あそこの主人公がさー」



利央が隣でスケッチブックに何かを書いて見せてきた。


“苛つきポイントその1
 《近い》

 苛つきポイントその2
 《肩に手を回そうとしている》

 苛つきポイントその3
 《呼び方》

 苛つきポイントその4
 《馬鹿が超笑顔》
 
       でしょ?”

俺はそのスケッチブックをすぱーん、と投げる。


…別に苛ついてなんか…。


「なんで壱流、そこまでイライラしてるのに気持ちに気付かないの…」

「苛ついてねえよ!!」

「朝浜光輝…だっけ?」



“俺の嫌いな奴、クランクインする”ついにその時が来てしまった。


役柄は主人公のことを大事に想う奴。


「爽やか俳優で有名だよねっ」


はっ!!

どこが!?

ただの軽い馬鹿男だろーが!!