姫☆守護ッ

それからも話し合い・・・というか小言に過ぎない先生方の呆れた会話がエンドレスで小一時間程続いたようです。長いね。



流石に出尽くした(同じ様なことばかり言ってましたけど)ようで、やはりここは校長先生の出番。


丁度職員室の真ん中付近に座っている、2年D組担任・松原先生が切り出しました。




「さて、やはりなかなかいい意見はありませんな。校長先生、どうしましょうか?」



これまでの流れ的に言えば、校長先生からの一言は決まっています。松原さん、それを承知の上で聞いてます。



「また、1週間様子を見ましょう。何か変化があるかもしれないですからね・・・・・。」


そして、ざわざわ、がたがたと職員会議が終わるのです。


しかし。


普段と変わらないかのように思われた直後、
校長先生の口からは職員室を一瞬で固まらせ、或いは唖然とさせる一言が飛び出したのでした。




「『姫☆守護ッ』を使いましょう。」



『』の部分だけ、やたらとファンシーな発音をしてから一変、”を”からはその余韻すら感じさせない程に真面目な口調で校長先生は言いました。



流石は校長先生、喋ることには慣れてますね。




職員室は一瞬、口をぽかんと開け、次の瞬間には青ざめてみたり、呆れたような顔つきにかわったり・・・・。




湯飲みこんこん先生がはじめに言いました。


「本当に使うんですか・・・・『姫☆守護ッ』を・・・!!」


『』内だけ美少女アニメのドジヒロインみたいな、そんな口調です。




その隣に座っていたポニーテール先生が続けて言います。



「校長先生・・・『姫☆守護ッ』を本当に使うつもりですか?無理があるんじゃあ・・・・。」



『』の中だけ両肩をあげて顔の前で指組んでウインクするというスーパーな仕草を加えて、声のトーンをあげて言いました。



それからも『姫☆守護ッ』の単語が何度も飛び交います。
男の先生、本当に気持ち悪いですよ。中年の女の先生も無理ありますよ。