「後10分後。 ミッションを開始する」 湊のはっきりとした声が 耳を通過する 「了解」 いつもなら短く感じる10分も 今は何時間にも感じてしまう 湊の息遣いが身近に感じられて 何だか胸が詰まる思いだった どちらかが失敗すれば 必然的にもう一人の人生を経つことになる どちらにしても失敗は許されないんだ 「行くぞ」 湊の声が身体全体に反響した瞬間 私たちは建物の中に飛び込んだ