キッチンで麻美の好物であるスコーンが焼けるのを待ちながら、それを聞いた百合子が、 「嬉しいような、でもちょっと残念なような。 あぁ、おばさん複雑だわぁ」 とため息混じりに呟き、それでも、 「いえ、まだ始まったばかりだものね。そうよ、麻美ちゃんはまだ若いんだし、急ぐ必要なんかないのよ」 と言って一人頷いているのを見て、麻美は苦笑いを浮かべた。