「真知子、アンタプレゼントもいいけど、あっちの方はどうなってんのよ?」


「あっちって?」


「まさか、10ヵ月近く付き合ってて、一回きりなんてワケないよね?」


私は黙秘した。


「図星なんだ。」


…………はい。


「彼氏の誕生日にセックス無しはキツイよ、真知子」


由梨は顔を歪ませながら言った。


「え、俺も無かったけど……」


…………。


「一回目がアレだったんだもんね。次はバッチリ決めなよ!」


「…………あの」


修司くん似のお兄さんが口を開いた。


「お店の前で、破廉恥な言葉を大声で言うのはご遠慮下さい。」


修司くん似のお兄さんは、まともな事を言った。


顔は一緒でも、この人は普通だ。


私達は買い物を終え、店を出ようとした。


「お姉さん」


私はさっきの店員さんに呼び止められた。


「これ、良かったらどうぞ」


そう言って渡されたのは、ライブのチケット。


「良かったら来て下さい。」


彼はそう言って仕事に戻った。


ライブのチケットは二枚。日にちは、4月25日。
―――――修司くんの誕生日。