「じゃないとコレ渡さないよー」


智也が持っていたのは私が作ったチョコ。


「!!なんでアンタがそれ持ってんのよ!」


「リビングにおきっぱなしだったぜー」


「…返しなさい」


「よーい、ドーン!」


ビュウゥッ


智也と大和くんは一輪車を猛スピードでこいでいく。


「まてぇぇぇ!!」


「真知子ちゃん!?」


修司くんの声もむなしく、私は猛スピードで二人を追いかけていた。


「真知子ちゃん、獲物を狙うライオンみたいだな…」


修司くんはポツリと呟いた。
…自分の彼女を猛獣に例えるのはやめてくれ。


結局山まで来てしまった。


「いた!」


坂道なので一輪車のスピードが遅くなっている。


「もう止めなよ。危ないって」


智也と大和くんは私を無視。
……このクソガキどもが!


「隣はガケだよ!あ・ぶ・な・い!!」


普通に言って聞こえる距離なのに、私は大声で話す。


「ぅうわっ」


私の声にビックリしたのか、大和くんがバランスをくずした。


隣はガケ…


「危ない!」


私は大和くんをガケの直前で受け止めた。


「はぁ~。危なかったぁ」


私は安心した。
ゴスッ!


「つあっ」


一輪車が私のスネに倒れてきた。


「ねぇちゃん、顔ヤバいよ」


その時の私の顔は、見るに耐えなかったとの事です。弟はそう証言しました。


「うるちゃいなぁ!!」


「…噛んでるし」


…だってスネが痛いんだもの。