多分、修司くんにはその黒い物体が拳銃に見えたのだろう。
その言葉に反応したヤマンバギャル達はお客さんに飛びかかった。


「オラァァァァア!!」


ギャルは雄叫びを発してラリアットを繰り出した。


「ブォフッ」


お客さんはあまりの衝撃にその場に倒れこんだ。


「イキナリ何すんだよ!」


そう言って立ち上がろうとした。


「とりゃあぁあぁぁぁ!」


十六文キック!!


「ガハッッ」


……ヤマンバの攻撃力はあなどれない。


その時、黒い物体が男のポケットから落ちた。
その黒い物体は、ただの黒いケータイだった。


「ウチらのアイドル、修司くんに手だすならアタシらが許さないからね!!」


こ、こぇ~……。


「何やってんの!?」


店内の商品をチェックしていた吉野康生がレジの所まで来た。


「あ、何でもないみたいです。」


修司くんが答えた。


お前が言うなよ!!


「まったくもぉ~。修司くんたらぁ、お・ちゃ・めサン!」


ヤマンバギャルはそう言って微笑んだ。


さっきの男性の姿はもうなかった。
……気の毒すぎる。私はそう思った。