幼なじみ〜first love〜

「んじゃ…俺先に行くわ」




蒼は、同じ中学だった男の子たちに見つけられて、強引に連れ去られた。




「うん、後でね」




あたしは笑顔で手を振る。蒼は、男子たちにも人気者。




蒼は常に冷めた口調だし、いつも明るく周りに笑顔を振りまいているタイプでもない。

人からはクールな印象を持たれる。

だけど、昔からいつもみんなの中心にいる人だった。




「…絢音?なにボーッとしてんの?」




美々ちゃんがあたしの顔の前で手をパタパタと動かす。




あたしが見つめる視線の先。

蒼のそばに駆け寄り、何やら話しかけている知らない女の子たち。




「美々ちゃん、すでに蒼がモテてる。嫌だぁ〜」




あの女の子たち、蒼にきっと携帯の番号聞いてる。絶対、赤外線通信しよーとか言ってるんだよ…あぁー嫌だ。




何度みる光景でも、その度に泣きそうになる。




慣れっこなんて…ただの強がり。




そんなあたしを見かねて、美々ちゃんは、あたしの頬を左右に引っ張った。




……い、痛い。




「泣かないのっ!蒼くんがモテてるなんて、いま始まったことじゃないでしょうがっ」




「…そぉだけどぉ〜でもイヤぁ〜!」




あたしは美々ちゃんに思い切り泣きつく。




「いいかげん、幼なじみ卒業したら?彼女になりなさいっ!」




「フラれたら…そばにいれなくなるもん…」




伝えなきゃ伝わらない。


叶うものも叶わない。




でもフラレるのが…怖い。






幼なじみって

すごく近いようで。



すごく遠いんだよ…――。