ふと疑問に思うことがある。
俺たちって…いつまで“幼なじみ”なんだ?
なんか考えるだけで切ない問題だ。一生?
絢音が他の男と結婚…いやいや…ムリだ。
ありえない。ぶち壊す。
俺は、こんなくだらないことを考えながら、学校の屋上であおむけに寝っ転がっていた。
青い空に白い雲が浮かんで、ゆっくりと流れてゆく。
春は、ポカポカと暖かくてすぐに眠くなるな。
陽の光が少し眩しくて、右腕で目を覆った。
「あーおっ!」
手で覆わなくても、急に影で暗くなった。
俺の顔を上から覗きこむ男。
「…ケン」
声をかけてきたのは、同じ中学出身でサッカー部だった、
俺の親友…川畑 健(かわばた けん)。
見た目は、一言でいうと、サル顔。
「探したんだぜ?」
そう言ってケンは、俺の隣にあぐらをかいて座る。
ケンだけは、俺の絢音への気持ちを知っている。
「入学早々、モテてますなぁ〜蒼くん?」
「気持ちわりぃなぁ…“蒼くん”とか呼ぶなっ」
「どうしたんだよ?機嫌悪くね?」
ケンは笑いながら、ジュースの缶を一気に飲み干した。
「絢音っちと…ケンカでもした?」
「…してねぇよ」
ケンは、俺の顔を見てニヤッと笑みを浮かべる。
「おまえが絢音っち以外のことで、機嫌悪くなるわけねぇもん」
「…うっせぇよ」
図星だから、余計に腹が立つ。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)