くるりと店に背を向けた時、ニヤリと笑った顔が見えた。
初めて目にする、不敵な、微笑み。


「チサはオレのもんでしょ?」


背中に視線を浴びながら、一層顔を近づけてくる。

アタシは、できることなら石になってしまいたかった。


「オレのもんなの」


応えないアタシの耳にそう刷り込むと、ユウヤは嘲るようにニタリと店を振り返った。
彼がいると知ってか知らずか。
見せつけるため、パフォーマンスを繰り返す。



なんて……。