……なのに、あの、別れ話しをした日の前までと変わらない、温かい、彼。


「ごめんっ」


アタシは、顔を背け、叫ぶようにそう言うと、彼の手を逃れて走り出した。


こんなに優しい彼の隣で。
心はユウヤで占められている。

ユウヤを、死なせたくない。


今行かなければ、きっと、もう会えない。

そんな気が、した。

ごめんね。


大好きな彼に心で謝り、アタシは背中を追ってくる声から、文字通り逃げるように、ユウヤの部屋を目指した。