少し太った三日月が鈍く輝き、雲間に消えた。
霞のかかった電灯に、小さな羽虫がうるさく群がる。

今だけは、それも気持ち悪いとは感じない。虫なんて、大嫌いなのに。


どうだって、イイ。

せっかく買ったばかりの長いスカートも、足にからみついて不快感を高めるだけだった。



ジリリリリ



ふと、バッグの奥底で携帯が鳴った。