もしかして、アタシは長いこと寝ていたのかもしれない。

頭にかかった霧がいまだに濃くて、すべてが、よく、わからない。


それに……なぜだろう。
声が、出ない。


「もう大丈夫だからな。安心しろよ」


布団の中に腕を入れ、力強くアタシの手を握る彼に、よくわからないまま、微笑んでみる。
ぎこちない笑みしか浮かばなかったけれど、まぁ……今は気にしない。


なんだか、まだまだ、眠たかった。
まだいくらでも、眠れる気がする。


天井の白がまぶしくて、アタシは静かにまぶたを閉じた。


どこかで見た、白い天井。
まな裏にかすかに浮かぶそれを、頭上の景色に重ねながら。