白い天井~恋愛依存症候群~

「…………の」


ダラリと腕を下ろしたハルコの口が微かに動いた。
見える限りの頬が、しっとりと、光る。

嬉し泣きだろうその姿に、アタシはいたたまれない思いになった。

命を共にしようとしていた恋人が、舌の根も乾かぬうちに今度は、他の女に求婚している。

目の前が真っ暗になるのを通り越して、もはや、憎しみで赤く染まりそうだった。


「適当なこと言わないでよっ!」


ハルコより早く、アタシは絶叫した。


「何なのアンタたち!?都合が悪くなるとそうやってすぐに逃げて……っ!
まわりを振り回して楽しい!?
……アンタたちの赤ちゃんなんて……まともに育つわけない!!」


言っていい言葉だったか、わからない。
でも、激流のように、感情が迸る。


ユウヤが、憎い。

そして誰より、ハルコが、憎い。


アタシの幸せを返して!