噂に聞く、教育熱心なユウヤの親。

大事な息子についた悪い虫とばかりに、罵られるのではないだろうか……。


嫌な予想が頭の中を駆け巡り、逃げ出したい衝動に駆られる。考えるだけで、面倒だ。

けれど、アタシの靴は玄関に堂々と置かれていて、気づかれずに済むわけがなかった。


せめて可愛く見せなくちゃ。
ちょっとでも、印象が良くなるように。


はげてしまったアイシャドウを塗り、口紅を取り出す。


ユウヤに出会ってからこっち、急な展開には免疫がついたつもりだった。
でも、これは……。

アタシは、聞き耳を立てて出ていくタイミングを窺いながら、秋物の口紅を淡くのせた。