叫びたい衝動をこらえ続け、ほうほうの体でバイクを降りる。

粟立った精神は、もはや極限に等しかった。


また腕を掴まれて、見慣れた部屋に入れられた、刹那だった。


ドッ


アタシはそのまま、リビングの床に崩れ落ちた。
打ちつけた肩が、痛い。目の前の世界が真っ白になって、何の音も聞こえない。

ガタガタと不安定に揺れ動く腕に、アタシはぼんやりと、中学生の頃、貧血で倒れた時のことを思い出した。


……吐きそう。


貧血の方がよっぽどいい。

キリキリとした胃の痛みに、意識を手放すことすら、できない。


ふと、どんどんと血が下がっていくような気持ちの悪い感覚が抑えられて、宙に浮いたような気がした。


ミシリ……


ユウヤがアタシを抱きかかえて運んでいたことに、ベッドにおろされて、初めて気づく。


一応、心配してくれたのだろうか……。