気を失って、倒れてしまいそうだった。


一言も発さず、こちらを見もしないユウヤ。

動き出したバイクの後部で、アタシは、しがみついていいのかどうかも、わからない。

迷った末に、タンデムバーを握りしめた。初めて掴まる、心細さ。
それでも、ユウヤは振り返らない。

自分の準備を整えて、猛スピードでバイクを操る。


普通に走って15分の道のりだ。今日は恐らく、10分もかからずユウヤの部屋につくだろう。

慣れない体勢と荒々しい運転に、ただでさえパニックになりかけていた精神が、ついに、恐慌をきたし始めた。