おろしく長い、数分間だった。
でも、これでやっと逃れられる。


校門前のロータリーを、バスがゆっくりと回ってくる。

あと少し。
速度を落とすバスを、ジリジリとした思いで見つめた。

乗り込んで、走り出すまで安心できない。


このまま、彼の陰で乗ろう。


プシューという音とともにバスの乗降口が開いた……その時だった。


一歩を踏み出しかけた後ろ手を乱暴につかまれた。

振り向けぬまま、全身を怯えがかけ抜ける。

まさ、か……。


「降りろよ」


有無を言わさず強引に引っ張られ、アタシは登りかけた姿勢のままで、尻餅をついた。