アタシは着信音もバイブも切って、部屋の、ほとんど使ったことのない勉強机の上に、携帯を置きっぱなしにしていた。

気が向いた時だけ、見る。


大学は、理由をつけて、二日間、ズル休みした。
珍しく、家の誰も文句を言わない。妙に感じたけれど、鏡を見て、我がことながら納得した。

青白い顔。
むくんだ瞼。
お世辞にも、まとも、とは言えない。

自分でも初めて見るほど、ひどい顔だ。


食欲も睡眠欲も感じないから、朝も昼もわからない。


アタシの中は、空っぽだった。

何にも、ない。


怒りも、悲しみも……。



アタシはただ、虚ろに、ここに、ある。