会話は、もしかしたら、筒抜けかもしれない。

けれど、すでにかなり酔っ払ったアタシには、そんなの、どうでもいいことだった。


「アタシはハルコとは違うもん」


ぼんやりとし始めた意識を奮い立たせ、心許ない反論に出る。

丸め込まれちゃあ、いけない。


「そんな器用にかえられないよ」


美人ではないものの、陽気なハルコはよく目立ち、そして、結構、男ウケがいい。


「人聞き悪いなぁ」


ジンバックを一口含み、ニヤリと笑う。
胸元では今年5人目の彼氏からもらったというネックレスが光っていた。


「なかなか合う男が見つからないだけ~」


大人だなぁ……。


そのセリフにしみじみ思う。
アタシにはきっと一生言えない言葉だ。