「でも美香。こういうのはちゃんと言っとかないと改善されねぇよ?」
「マネやるの三年目だからって、ちょっと調子に乗りすぎてんだよ大崎は。」
治と礼二が美香に近寄り、そんな言葉を囁いているようだけれど。囁きにしては大きな声に、あたしにまで聞きたくもない言葉が聞こえてくる。
そして、
「…今まで一人でやってきたことが、2人になってできなくなるとかマジ意味わかんね。」
立ち上がった紀彦がそんな言葉を囁いたのとほぼ同時に、ようやく解放された左手。そして紀彦も、他の二人のように美香に近寄っていく。
…ってか、意味わかんないのはあたしの方だっつーの。
「陽路先輩、帰りましょう。」
美香を中心に集まる四人を、訳のわからぬまま見つめていたあたしは、緒太の言葉で我に返る。そして軽くうなずいた後、慈朗に促されるまま部室をあとにした。

