…――何か言われる前に、ここから出よう。
そう思い、自分の鞄を取って部室を出ようとドアノブに右手をかけた刹那、左手をドアのそばに座っていた紀彦に掴まれてしまった。
「…何?あたし帰るから、離してよ。」
「……。」
でも紀彦は、人の手を掴んでるくせに一言も話そうとしない。礼二も静かにあたしを睨みつけてくるだけで。沈黙が続く中、治がゆっくりと口を開いた。
「…今日大崎、美香に仕事やらせ過ぎじゃね?」
………は?
何、言ってんの?意味がわかんない。
しかもそれって逆だし。あたしが仕事してたんだっつーの。
困惑が渦巻く、あたしの思考。
不意にうつむいて座っていた美香の顔を伺えば、かすかな笑みを浮かべていて…。
ようやく得た、確信。隠されていた、陰謀。
今日の美香の行動全てに意味があったことに、今更ながら気づかされた。

