君を守りたい


「えー。マジで?ほんっとありえないー…。まぁいいや。緒太ありがとー。」

「いえ。」


とりあえず軽く悪態をつき、緒太にお礼を言う。あたしに軽くお辞儀をしてまた部室に向かう緒太の後ろ姿を見ながら、あたしはゆっくりとボール拾いを始めた。

彼、杉下緒太は一年生。
たぶんこの部活の中で、一番礼儀正しい子だと思う。すごくいい子で話しやすいし。前に二年生の、川瀬聡をめちゃくちゃ尊敬してるって話を聞いたことがあったっけ。

そんなことを考えながら、三面あるテニスコートの中を一人黙々と回っていたあたし。いくら仕事といえど、だんだん飽きてきた。

不意に空を見上げると、茜の空に吸い込まれそうな感覚に陥る。そんなあたしの目の片隅に、制服姿の数人が走っているのが映った。