「どういうことですか?」


美香を囲む集団を避け、あたしに問いかけてきたのは次期部長候補の渡部圭。
切れ長な目が、あたしと慈朗をとらえる。


「あたしも訳わかんない。見学させてっていう話だったから連れてきたのに…」

「やな感じ〜…」


困り果てたあたしたちを見て、圭は美香の方に視線を移した。相変わらずあまり感情を表に出さないので、何を考えてるかはわかんないけれど。


「……イヤなタイプだ。」


そう呟き、小さく息を吐いたかと思えば、圭はロッカーのあるところまで行き、徐に部活の準備を始める。
隣にいた慈朗も「どうせ3・4ヶ月だよ。」といい、圭たちの方に向かった。

そうだよ…
どうせ、引退までの我慢じゃん。