人は誰でも、少なからず心に傷を負っているはずだ。
それを乗り越えられるかどうかは、自分自身にかかっているんだけれど。

ずっと、ずっと、過去に囚われているわけにもいかない。今は今の、生き方があるから。

一度心折れたとしても、またやり直せた。今を築いてこれた。
もう二度と失いたくない。
大切な人を、大好きなみんなを。

だからあたしは、あの日に誓った。
全てを捨てたあの日に、過去との決別を…。

――なかったことにする。

それは無理だと、心の奥底ではわかっていたけれど。全てなかったことにして、過去の自分を消滅させる、それが、今をこれからを守るため、あのときのあたしができた最大限の防御だったから。

だけどやっぱり、過去はいつまでもあたしを苦しめる…