帰ってすぐ電話をしたため、電気もつけてない室内。カーテンを閉め忘れてた窓から差し込む月明かりだけが部屋を照らしている。
その僅かな光を頼りに、ベッド横にある時計に目を走らせた。時刻はすでに21時半を回っている。
「じゃあ寿也、時間も遅いし、そろそろ切るね。」
『そっスね。じゃ、明日の朝練で………………あ。』
電話を切ろうと携帯のパワーボタンに伸びていた親指は、寿也が発した言葉に思わず動きを止めた。
「…どうした?」
『いや、あの…。今ちょっと思い出したことがあるんスけど、少しいいッスか?』
特に断る理由もないので「いいよ。」と短く返すと、寿也がゆっくりと話し出す。

