「今年こそ海星も明春も破って、凌葉が優勝するんだからねっ!」

「今年の海星も手強いよ?」

「負けないから!」


そんな風な会話を交わし、笑い合う。ただそれだけで幸せだ。

周りで行き交う人々。急ぎ足で歩くサラリーマンの姿。あたしもそろそろ行かなきゃならない。


「じゃ、あたし行く。またね、慈朗。」

「うん!またね。」


三年前守れなかった“またね”の言葉。
今度は現実になる。あたしはもう、慈朗から離れない。“またね”でつながる明日がある。

笑顔で手を振ってくれてる慈朗に手を振り返し、あたしは彼に背を向けた。